思い知れ

この世界にきて何年たった?

未だに人間とのかかわりがわからないんだな

 

愚かな愚かな

何度そんな思いをしたのか忘れたわけではあるまい?

 

 

「気味悪い子」

「話がずれてるよ」

「何言ってるかわからない」

「自分しか見えないんだね」

 

また調子にのって

なつけばなつくほどダメなんはわかっていたはず

 

感覚で生きてちゃ

傷つける

理論で生きても

傷つける

 

どっちにしても、馴染まないのだろうか

手を握り、その腕に隠してはくれないだろうか

 

ただただそうしていたい

あなたしかわからないのだけれど

 

ただただ心が求めてやまない

それだけなのだけれど

 

けれど

どこからか繰り返し聞こえてくる

「仕方ないよ、お前はなにかが欠落しているねだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ウサギ

 

深夜の帰路

そこは山道で道も木々も雪化粧

 

ふと

向こうに、ぼんやり立ってる小動物

 

それはまるでピーターラビット

 

と思ったのは一瞬で、現実は危うく轢きそうになり、冷や汗なのです

 

「母さん聞いて!今日ね、びっくりしたんだよ。急に眩しくなったの。そしたらね、水色の大きな熊だったんだ!ピカピカ光る目玉で、もうもうと白い雪を巻き上げて走って行ったよ。恐かったー」

 

「なんだって!またあの杉林の向こうに行ったのかい!あれほど、行くなと言っているというのに!あそこは、獣の棲まうところ。ほんとに呆れた子だよ!さあ、罰だよ!お尻をお出し!」

 

「ごめんよぅ、ごめんよぅ」

 

あのこは、そんな風に叱られたろうか

ぱしぱし叩かれたお尻はひりひり痛んだろうか

けれども。きっと。

ベッドに潜り込んで

ニヤリとしながら眠りについたに違いないな

 

 

空想その①

街路樹のお喋り

 

「寒いねー、今日は特に寒いや」

「ああ・・・またちらほら雪が落ちてきたね」

「おや?誰かこの雪の道を歩いてくるよ?」

「積もった雪に隠れて、毛糸の帽子が消えたり見えたり」

「肩かけかばん・・・ぱんぱんに膨らんでいるよ」

「おつかいかな?真っ赤なほっぺたに、白い息はいて」

「ざくざく道だし」

「つるつる道だし」

「せめてあの子に落ちる雪だけなんとかならないかな」

「よし。ボクが枝をのばして、傘になってあげよう」

 

ばさっ

 

「あ・・・」

「かわいそうに、あんなに、雪をかぶってしまって!」

「いや、傘になろうと・・・」

「こちらを見上げたよ」

「いっぱい涙ためてる」

 

 

・・春になったら、ボクは枝にたくさんの葉っぱをたくわえよう。そして、柔らかな木陰を作ってあげるんだ。

そしてきっとボク、あの子のほっぺたを笑顔にしてあげるんだ。

 

 

匂い

 

かわいがって貰ったあとは

ふわふわして夢心地

 

満たされた気分で

川面がゆりかご

 

しんとした部屋の中で

帰ってく、その運転してる腕・その向こうに見える景色

目の前に浮かんでくるのも

やっぱり夢心地