ふと目が覚めた
大きな鏡の中からあたしが見てる
あまりに真っ直ぐ観てるから
あたしも真っ直ぐ見てるがいいのか
うろつくゴブリンを見てるがいいのか
鏡のまわりのもしゃもしゃとした紙切れを見てるがいいのか
いつもいつも悩むのだ
ゴブリンがぼそぼそ喋る
あわせなけりゃ、きっと大ゴブリンに告げ口しにいくのだろう
それならば
あたしもぽそぽそ喋る
さあさあ最後の試し
大ゴブリンと小ゴブリンと両側からあたしの髪に
息を吹きかけ
指を差し入れ
泣き出すのを待っている
残念
四方に揺れる髪が目を打とうと、鼻をくすぐろうと、あたしはひとつも困らない
むしろ
心地よい眠りに入りそう
美容院は眠りと浮游の場所